日本の環境報道におけるグローバルNGOの影響力:京都議定書からパリ協定まで(査読付き)
『公共政策志林』第5号
環境政策の方向性を左右するのは、メディアに、政府、産業界、市民社会それぞれの言説がどのように扱われるかによる。1997年の京都議定書会議前後から専門化したNGOが台頭し、次第に政策形成への影響力を強めてきたと考えられる。主要新聞の環境に関する報道体制の調査、日本におけるNGOの活動分析を行ったあとに、国際NGOの代表としてWWFジャパン、それに国内NGOの代表として気候ネットワークの専門スタッフらが、1997年から2015年までの間に主要新聞にどのように取り上げられたかについて、新聞記事の言説分析を行った。1997年にはイベント関連記事などが多かったのに対し、2009年以降は専門家としてメディアに登壇するようになり、2015年パリ協定成立のころには、有識者としてコメントや論説インタビューが掲載されるようになったことが示された。環境政策の十全性が高まる方向へNGOの影響力が増していることが示唆された。